教員の時間外労働を改善するための取り組みが各地で行われていますが、こちらの記事では東京都教育委員会における取り組みと調査結果について紹介。東京都教育委員会によって行われた2021年度の学校における働き方改革に関する調査によると、都立学校・公立小中学校ともに多少の増加・減少はあるものの、全体的に時間外労働は減少傾向にあるというデータが報告されています。また、2022年度に行う予定となっている取り組みについても紹介しています。
日本は世界に比べて教員の労働時間が長いと言われています。東京都の働き方改革において、労働時間は、都立学校・公立小中学校ともに多少増減はあったものの、時間外労働については減少傾向が見られたというデータも。では、どのようにして改善されたのでしょうか。学校の校務効率化を進めるポイントについて解説します。また、ICTを活用したシステム、学校・保護者間の連絡サービス「tetoru」や統合型公務支援システム「EDUCOMマネージャーC4th 」についても簡単にまとめました。
近年、教員を志望する学生数が減少しています。実際に小学校の教員採用試験では最低の倍率を更新し続けており、2011年と比較するとその倍率はおよそ半分となっています。この背景にあるのが、教員の過酷な労働環境にあると考えられており、このことから「以前は教員志望だったが、現場の状況を知ったことにより教員志望をやめた」というケースも。そこでこの環境を改善する方法のひとつとして、教務システムの導入が考えられます。
校務システムとは、校務情報を集約・共有することによって効率的に校務を行えるようにするシステムです。導入により多忙な教員の業務負担の軽減を行うとともに、教育の質向上などが期待されているシステムですが、文科省の専門家会議では校務の情報化について議論が行われています。2022年5月24日に開かれた会合では、現在導入されている校務システムの導入事例や、導入による効果、また導入にあたっての課題などの報告が行われました。
昨今、教員になりたいという人材が不足しているという点が問題になっています。この問題の改善を目指し、熊本県教職員組合では若手教職員(新規採用の2、3年目の教職員)向けにアンケートを実施。その中では、回答者の7割ほどが「給料が労働量に見合っていない」と回答。さらに、周りに教職員になることを考えている人がいた場合に「勧めない」「あまり勧めない」と考えている人が4割を超えるなど、さまざまな課題が浮かび上がってきました。
職員室では、従来、職員個人のメールアドレスがないなど、アナログな作業に追われていることが問題となっていました。煩雑な手作業によって、膨大な残業が発生。過労死ラインを超える激務のイメージが定着しています。そこで文部科学省が全国統一のシステムを導入する方針を定めました。これによって、職員室での作業がIT化できる部分が増えます。また、各家庭からの連絡や転校の際のデータの移行などがスムーズになるでしょう。
文部科学省が2023年文科省概算要求として、GIGAスクール構想・学校DX関連に162億円を計上したというニュースを紹介。この金額は前年度比でおよそ120億円の増額となっています。このことにより、端末の更新などを行う時期が訪れる前に、現状の課題解決につながるさまざまな取り組みが進められる見込みとなっています。これまで以上に校務の効率化に関する流れが加速する、ということが期待できるといえるでしょう。
GIGAスクール構想・学校DX関連に120億円概算増額
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富士キメラ総研による「教育DX/ICTソリューション市場総調査2023」における、今後予想されているICT関連市場の動向に関するニュースを紹介しています。さまざまな面において大幅に市場の拡大が予想されていますが、中でも特に注目したいのが「デジタル教科書の国内市場が2030年には500億円に達する見込みである」という点です。このように、デジタル化が進むことによってこれまで以上に校務効率化が進んでいくと予想されます。
デジタル教科書、2030年度には国内市場5.9倍の見込み
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文部科学省では2022年8月〜11月に「校務の情報化に関する調査」を行っており、2022年11月には9月時点までの調査結果が共有されました。その内容によると、73.4%の自治体において統合型校務支援システムが導入されており、一切電子化が行われていないという回答は3.1%という結果になっています。
ただし、およそ8割の自治体において校務用の端末と教員用の端末が使い分けられている、およそ9割の自治体が校務支援システムを学校外から使うことができないなど、さまざまな状況が浮き彫りとなっています。
文部科学省では、2022年12月に都道府県・指定都市の計67教育委員会を対象として行った2021年度(令和3年度)公立学校教職員の人事行政状況調査を公表しています。この調査の結果によると、精神疾患を理由として病気休職をしている教職員は5,897人で、前年よりも694人増えていることがわかりました。
この結果は過去最多の人数となっていることからも、教職員に対するストレス軽減の対策は急務であるといえるのではないでしょうか。
文科省「公立学校教職員の人事行政状況調査」
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2023年1月19日、全日本教職員組合は「教職員勤務実態調査2022」の第一次集計結果を公表しました。この調査によると、教職員の時間外勤務は4週間の合計で「86時間24分」。文科省が定めている上限「月45時間」を大幅に超えているとともに、過労死ラインと呼ばれる時間外勤務時間である「80時間」を超えていることがわかりました。
こちらの結果は、10年前の調査と比較すると減少傾向にあるものの、やはり改善することが必要な状況であると考えられます。
簡単な操作で、通知表、要録、学校日誌、週案、さまざまな名簿等の事務作業を効率化してくれるシステムです。既存のシステムでは難しかった、私立小学校の独自の文化やルールに柔軟に対応し、PCが苦手な先生でも使いやすい操作性も魅力。「スクール マスター zeus」の詳しい特徴や導入事例は、公式HPをご確認ください。